会長あいさつ

「日本のチカラ」

“日本の力”と”日本のチカラ”と書いて、じっと眺めています。”力”には集約的で堅固で強い印象を受けますが、”チカラ”からは個別的で柔軟で小さいけれど裾野の広いイメージが感じられます。

放送を通じて教育の機会均等を振興に寄与することを目的にしている民間放送教育協会は、日本全国に既存のネット系列を超える民間放送唯一の広い独自の裾野があります。全国各地にはたくさんの魅力あるユニークな産業や歴史や文化があります。それを懸命に支え継承している人々がいます。そして、それぞれの特徴ある放送局が生み出す教育ドキュメンタリー番組は、地域に根ざしているからこそ描き出せる作品のチカラ、放送のチカラを感じさせてくれます。きっと地元への愛と伝えたい熱い思いが根底にあるからだと思います。

そのチカラを受け取った地元の人たちは、改めて故郷の魅力やチカラに気付かされるかもしれません。他の地域の人々は、驚きの新発見や大きなヒントを得られるかもしれません。そんな知恵やバイタリティーを受け取り、感じ取った人々の中に、小さな変化が広がっていく。ひとりひとりの人間が、何かを知るチカラ、感じるチカラ、そしてそこから考えるチカラを身につけていく。そんなチカラの循環と結集が地域を潤し、やがて日本のチカラになっていくことを私は願っています。そして、それこそが教育のチカラであり、民教協の役割であると考えています。

私はこれらの作品を、一人でも多くの人に鑑賞していただくことを願っています。

公益財団法人民間放送教育協会 会長
吉永 みち子